木造ハウスメーカー4社の耐震性を比較|耐震等級3では差がつかない理由

木造ハウスメーカー4社の耐震性を比較|耐震等級3では差がつかない理由

うちは地震に強いですよ

木造の大手ハウスメーカーを4社まわって、全社から同じことを言われました。

耐震等級を聞けば、どこも3。それなら何が違うのかと思い、各社の公式サイトを調べ始めました。ところが途中で気づいたことがあります。そもそも、横に並べて比べられる数字がほとんどないのです。

壁倍率22.4倍と11倍。震度7を60回と、合計246回の加振。数字だけ見れば大小がついているように見えます。ところが中身を確認すると、測っている対象も実験の条件もバラバラでした。

面談を振り返って唯一はっきり覚えているのは、一条工務店の免震の話です。他社が耐震の話をする中で、そこだけ発想が違ったからでした。ところが今回あらためて調べてみると、当時の私は肝心なことを分かっていなかったと気づかされます。この話は後半で書きます。

この記事では「どこが一番強いか」には答えません。代わりに、4社が地震の力をどう処理しようとしているのかという考え方の違いと、最後に自分の間取りで何を確認すればいいのかを整理します。最終的に我が家はヘーベルハウスの重量鉄骨で建てましたが、木造4社を比較検討したときに調べた内容がベースになっています。

①耐震等級3|4社とも公式に確認できた

いちばん気になるところから片付けます。耐震等級3は4社とも公式サイトで確認できました。この数字だけで順位をつけることはできません。

メーカー公式サイトの表記書かれている場所
一条工務店すべての商品タイプ・建物において標準仕様で耐震等級3耐震の特設ページ
三井ホーム最高等級にあたる耐震等級3を取得MOCX WALL工法のページ
住友林業住友林業の家はもちろん耐震等級3はじめての家づくりコラム
積水ハウス耐震等級3以上標準(耐風等級2以上標準)防災住宅のページ
各社公式サイトの記載より(2026年8月時点)

ちなみに我が家のヘーベルハウスも耐震等級3です。重量鉄骨でも木造でも、等級という物差しの上では同じ数字になります。だからこそ、その先を見る必要が出てきます。

同じ「等級3」でも、書かれている場所が違う

表を作りながら意外だったのは、同じ一行でも書き方と置き場所が違ったことでした。住友林業は技術ページをいくら読んでも出てこず、初心者向けのコラム記事の中に書かれています。BF構法の性能ページに等級の記載はありません。

そして4社で唯一、条件を添えているのが積水ハウスでした。「耐震等級3以上標準」と書いたうえで、注釈に「地域により仕様は異なります」とあります。別ページでは住宅性能表示制度について「この制度は任意であり、ご利用についてはお客さまが選択できます」と説明し、構法別に対応基準を設けていると案内していました。「標準です」の一言で済ませていないのは、4社でここだけです。

②構法の違い|一条・三井・住林・積水

等級で差がつかないなら、次に見るのは地震の力をどう受け止める構造にしているかです。ここは4社ではっきり分かれました。

ざっくり整理すると、次の3グループになります。同じ木造でも、力の受け方が違うわけです。

  • 面で受ける(一条工務店・三井ホーム)
  • 柱と梁の枠組みで受ける(住友林業)
  • 両方使う(シャーウッド)

4社の構法をもう少し詳しく

一条工務店(ツインモノコック構造)
各階を六面体の箱型パネルで構成し、外からの力を面全体で分散させる考え方と説明されています。
三井ホーム(MOCX WALL工法)
2024年10月の新規契約物件から対応した新しい工法。木造マンション向けに開発した高耐力の壁の技術を、戸建て用に最適化したものと説明されています。
住友林業(ビッグフレーム構法)
幅560mmの太い柱「ビッグコラム」と梁を金属同士で密着させて接合する構造。大断面の柱と梁を強固につないだ枠組みで支える考え方です。
積水ハウス シャーウッド(シャーウッドハイブリッド構造)
面で支えるモノコック構造と、柱梁で支えるラーメン構造の長所を組み合わせたもの。木造軸組構法では唯一、型式適合認定を取得していると説明されています。

一条工務店は商品で構法が変わる

ここで注意したいのが一条工務店です。「一条の耐震」とひとくくりにできません。

ツインモノコック構造
グラン・スマート、アイ・スマート、アイ・キューブ、ナチュリア
夢の家I-HEAD構法
グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年

2×6の枠組壁工法と、軸組工法の2系統に分かれています。展示場で見た商品と、実際に検討している商品が違えば、構造の話も変わってくることになります。

逆に住友林業は、面談で聞いた説明がビッグフレーム構法だけでした。公式サイトの性能ページも同様で、全編がBF構法の解説になっています。構法が1つに絞られている会社と、商品ごとに変わる会社がある。この違いを知らないまま比較表を作ると、比べているものがずれてしまいます。

③耐震・制震・免震|3つの考え方の違い

各社の技術を見る前に、言葉の整理をしておきます。地震への備え方には大きく3つの考え方があり、狙っているものがそれぞれ違います。

耐震・制震・免震の違いを示した図解

大事なのは、3つは上位互換の関係ではないということです。免震は装置を置くスペースと地盤の条件が必要になりますし、制震は建物が変形して初めて働きます。どれが優れているかというより、各社がどこに重心を置いているかを見るのがこの記事の趣旨です。

そして調べていくと、予想と違う結果になりました。

④制震装置|三井ホームのVAXは今も選べるか

私は当初、「一条工務店だけが免震で、残り3社は制震だろう」と考えていました。実際に公式サイトを確認すると、そうではありません。

今回確認した4社の現行技術ページでは、木造住宅向けの独立した制震装置が主要技術として説明されていませんでした。ただし過去の公式情報には存在するため、「今は選べない」とまで言い切ることはできません。気になる場合は各社に直接たずねるのが確実です。

三井ホームのVAXは現行ページで確認できない

三井ホームには「VAX(バックス)」という制震付与耐力壁があります。2014年のニュースリリースで発表されたもので、内壁の枠組みに制振ダンパーと制振フレームを組み込んだ技術と説明されていました。

ただ、現行のMOCX WALL工法のページにも、その下層の耐震を説明するページにも、VAXの記載が見当たりません。公式で確認できるVAXの情報は、2014年と2015年のリリースが最新でした。

調べると「1カ所30万円ほど」と価格まで書かれた情報もありましたが、その裏付けを現行の公式サイトで取ることはできません。検討中の方は、現在も選べるのかを営業担当者に直接確認したほうが確実です。

シーカスはシャーウッドには載らない

もうひとつ誤解しやすいのが積水ハウスの「シーカス」です。制震フレームとして知られていますが、公式サイトを見ると、これは鉄骨1・2階建ての「ダイナミックフレーム・システム」に組み込むものと説明されています。

木造のシャーウッドの技術ページには出てきません。積水ハウス=シーカスというイメージのまま木造を検討すると、話が合わなくなります。住友林業と一条工務店についても、BF構法とツインモノコックのページに別建ての制震装置の記載はありませんでした。

⑤一条工務店の免震|対応商品と条件

冒頭に書いたとおり、面談で唯一印象に残っていたのが一条工務店の免震でした。揺れに耐えるのではなく、揺れを届かせないという発想が他社と違ったからです。

実際、4社の中で免震という選択肢を現在も公式サイトに掲げているのは一条工務店だけでした。ただし、対応する商品が決まっているうえ、敷地と地盤の条件もつきます。

対応商品は2×6系の4商品

「一条アドバンス免震」という名称で、従来のスライダーと積層ゴムに新たにオイルダンパーを加えた三位一体のシステムと説明されています。対応商品として挙げられているのは、次の4商品です。

  • グラン・スマート
  • アイ・スマート
  • アイ・キューブ
  • ナチュリア

すべてツインモノコック構造の2×6系です。公式サイトには、これまで軸組工法による一般認定で4000棟を超える免震住宅を提供してきたが、2024年に枠組壁工法でも国土交通大臣の一般認定を取得した、という経緯が書かれています。

ここで、自分の検討当時を振り返って冷や汗が出ました。私が話を聞いていたのはグラン・セゾンです。そもそも免震が商品によって選べたり選べなかったりすることを、当時は知りませんでした。

そして今回確認した公式ページの対応商品に、グラン・セゾンは挙がっていません。免震に魅力を感じたまま検討を進めていたら、商品選びの段階で前提が崩れていた可能性があります。ネット上には「アイ・スマートは免震にできない」と書かれた解説記事も今なお残っているので、必ず検討中の商品名を出して確認したほうが確実です。

敷地と地盤の条件、そして費用

「一条なら免震にできる」と単純化はできません。公式サイトには、敷地の大きさや地盤の状態によっては選べない場合がある、と注記されています。建物の周囲に揺れを吸収するための隙間が必要になるためです。

費用についても公式サイトには金額の記載がありませんでした。免震を前提に検討するなら、土地が決まった段階で採用可否と概算費用を確認する流れになります。

なお一条工務店には、免震とは別に「2倍耐震」という選択肢も用意されています。内壁を強化して耐震性能を高めるもので、現行の公式サイトでは上記と同じ4商品が対応商品として掲載されていました。

三井ホーム、住友林業、積水ハウスについては、現行の公式サイトで戸建て向けの免震を商品として確認することはできませんでした。過去に免震システムを持っていた会社もありますが、今も選べるかどうかは別の話になります。

⑥壁倍率|住友林業22.4倍の本当の意味

各社の技術を調べていると、必ず出てくるのが壁倍率という数字です。そしてここに、比較記事でいちばん危険な落とし穴があります。

結論から書くと、倍率だけで比較することはできません。

4社の壁倍率が何を測った数字かを比較した図解

住友林業の22.4倍は柱と梁のつなぎ目の数字

壁倍率とは、横からの力に対して壁がどれだけ踏ん張れるかを表す数値です。三井ホーム、積水ハウス、一条工務店の数字は、この壁そのものの性能を示しています。一方、住友林業の22.4倍相当は、柱と梁のつなぎ目の強さを検証した実験結果を壁倍率という物差しに置き換えたものだそうです。ビッグコラムは壁ではなく柱ですから、そもそも壁の強さを競う数字ではないわけです。

長さと重さを並べて大小をつけているようなもの、と考えると分かりやすいと思います。

壁倍率だけでは家全体の強さは分からない

仮に4社すべてが同じ方法で測った壁の数字だったとしても、それだけで家の強さは決まりません。壁が何枚あるか、どこに配置されているか、上下階でバランスが取れているか、床や屋根がどれだけ固いか。すべてが関わってきます。

この関係を分かりやすく示している例が、積水ハウスの資料にありました。パートナー企業向けの事業で使われているダイレクトジョイント構法の説明で、次のような比較が載っています。

  • 在来工法の一般的な耐力壁(壁倍率3.7)を4枚使う → 合計14.8
  • 高強度耐力壁(壁倍率7.3)を2枚分使う → 合計14.6

強い壁を少なく置くか、普通の壁を多く置くか。この比較例では、使う壁の数が違っても合計はほぼ同じになります。この掛け算が分かると、各社が壁倍率を高めている狙いのひとつが見えてきます。必要な耐力を、より少ない壁で確保しやすくすることです。生まれた余力が、大きな窓や広い空間につながっていくわけです。

⑦実大振動実験|4社の条件を並べると

4社とも、実物大の建物を揺らす実大振動実験を行っています。カタログでも営業トークでも出てくる話なので、条件をそろえて整理してみました。ただし先に書いておくと、この表は順位表としては使えません。

メーカー試験体実施時期最大加速度震度7総加振回数
三井ホームプレミアム・モノコックG(2階建て)2016年7月5,115gal60回震度4以上125回
三井ホームプレミアム・モノコックS(3階建て)2016年6月4,176gal29回記載なし
住友林業BF構法3階建て実物大モデル2013年11月最大3,406gal22回246回(震度4〜6弱を含む)
一条工務店複数商品・複数条件複数年代表値の記載なし代表値の記載なし代表値の記載なし
積水ハウス実物大の建物記載なし記載なし記載なし記載なし
各社公式サイトの記載より(2026年8月時点)。三井ホーム・住友林業の実験はいずれも土木研究所で実施

数字だけ見れば三井ホームが突出しているように見えます。ただ、比べられない理由が3つあります。

同じgalでも、どこで測った数字かが違う

galは揺れの強さを表す単位ですが、どこで測った値かによって意味が変わってきます。

三井ホームは5,115galという数字について、入力した地震波そのものの数値ではなく、実験時に振動台で計測された実測値だと注記していました。住友林業は、東日本大震災と同等の最大加速度2,699galの揺れに加え、それを大幅に上回る3,406galの揺れを記録したがこれもクリアした、と公式サイトで説明しています。

入力した値なのか、測定された値なのか。この区別を明記している会社とそうでない会社があるため、数字だけの比較は成立しにくいのです。

さらに言えば、建物へのダメージは揺れの強さだけで決まりません。揺れ方の速さや周期によっても影響は変わります。一条工務店が公式サイトで、揺れの大きさだけでなく地震波の周期を重視すると説明しているのは、この理由によるものです。

三井ホームの実験は現行工法ではない

これは見落としやすい点です。5,115gal・震度7を60回という実験の試験体は、プレミアム・モノコックGとSです。

一方、現行のMOCX WALL工法は2024年10月からのもの。つまり「MOCX WALLが震度7に60回耐えた」という実験ではありません。旧構法で積み上げた実績、という読み方が正確です。

三井ホームの公式サイトには、旧構法の耐震ページと新工法のページが現在も並行して残っています。どちらの時点の情報を見ているのか、確認しながら読む必要があるわけです。

公表のしかたが4社で違う

三井ホームと住友林業は、実施時期・実験施設・地震波・加振回数まで公開しています。三井ホームにいたっては、計測値であることの注記まで添えていました。条件まで開示している会社は、それ自体が検証可能な情報を出しているということです。

一条工務店は方針が異なり、多数の実験を積み上げる形で単一の記録を前面に出していません。実観測波と想定波を組み合わせ、複数の試験体で繰り返し検証していると説明されています。積水ハウスは実大振動実験を行っていることは明記しているものの、条件までは公開情報を確認できませんでした。

つまりこの表は、性能の順位表ではなく現行の公式サイトで確認できる実験情報の違いを整理したものとして読むのが実態に合っています。空欄のある会社の家が弱いという意味ではありません。

実験そのものの読み方については、鉄骨シリーズで詳しく整理しています。

鉄骨ハウスメーカー6社の耐震実験を比較|実大実験の数字の読み方

⑧大開口・大空間との両立|4社の答え

ここまで見てきた技術には、実はもうひとつの目的があります。それが間取りの自由度です。

耐震性を上げようとすると壁が増えて、窓が小さくなり、部屋が細かく仕切られる。この関係を崩そうとしている点で4社の方向は一致していて、違うのは解き方のほうでした。

耐震性と大開口を4社がどう両立しているかを比較した図解

4社が公表している具体例

三井ホーム
壁1枚を強くすることで、同社のモデルプランでは約2割の耐力壁を削減できるとしています。窓上・天井の下がり壁も不要になると説明されています。
住友林業
一般的な木造軸組工法の筋かい耐力壁に比べ、約5分の1の幅で同等の耐震性を確保できるとしています。天井高2.85m、最大1.8mの張り出し、コーナーの窓なども可能とのことです。
積水ハウス シャーウッド
壁の強度が高いため必要な壁量が少なく済み、その分だけ開口を自由に広く確保できるとしています。
一条工務店
吹き抜けや大開口は柱や壁が少なくなり耐震性に影響するとしたうえで、等級3の住まいなら開放的な間取りと両立できると説明しています。

我が家も重量鉄骨のラーメン構造によって間仕切りのほとんどない広いLDKを実現できました。構造の違いは耐震性だけでなく、最終的には間取りや暮らし方にもつながります。

展示場で「大きな窓が取れます」と言われたとき、その根拠になっているのがここまでの技術です。逆に言えば、どの会社の理屈で広さを実現しているのかを聞けば、その会社の構造の考え方が分かることになります。

⑨耐震等級3の中身|自分のプランの確認法

ここまで見てきたとおり、4社とも公式サイトで耐震等級3を掲げ、独自の技術と実験の実績を持っています。では検討する側は何を見ればいいのでしょうか。

ひとことで言えば、「耐震等級はいくつですか」ではなく「その等級を、私のプランでどうやって確認しますか」と聞くことです。前者は4社とも同じ答えが返ってきますが、後者は会社によって中身が変わります。

打ち合わせで聞く5つの質問

  • この間取りの耐震等級はいくつになりますか。等級3は標準ですか、オプションですか
  • その耐震等級は、どのような計算や認定の方法で確認されますか。許容応力度計算は行いますか
  • 設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書は取得しますか。費用は誰が負担しますか
  • この位置に大きな窓を入れると、等級や壁の配置はどう変わりますか
  • (一条工務店を検討中の場合)免震はこの敷地と地盤で選べますか。費用はいくらですか

この質問を投げるには、複数社のプランを同時に持っている状態がいちばん効きます。同じ間取りの要望を出して返ってきた提案を並べると、各社がどこで壁を確保しようとしているのかが見えてくるからです。

複数社の間取りを並べて比べたい方へ

なぜ「確認の方法」を聞くのか

ヒントになる説明が、積水ハウスの資料にありました。「同じ耐震等級3でも耐震性には幅があります」という一文です。

耐震等級3を満たす方法には、木造住宅で一般的な壁量計算と、より詳細に構造の安全性を確認する許容応力度計算があり、どちらの方法でも等級3にはなるが地震に対する信頼性は大きく異なる、と説明されています。

この記事として押さえたいのは、すべての会社に同じ計算方法を求めることではありません。同じ耐震等級3という表示でも、それを確認したルートは共通とは限らないということです。

なお、この説明が載っているのは積水ハウスがパートナー企業と組んで展開しているSI-COLLABORATION(ダイレクトジョイント構法)のページで、シャーウッドとは別の事業です。ただ、耐震等級3という数字の読み方については、メーカー自身の説明として参考になります。

メーカー公式サイトに書かれている確認方法
一条工務店一般的な壁量計算ではなく、許容応力度計算を一邸一邸実施
住友林業独自システムWiNX+で、プランに合わせて一邸一邸の構造計算を実施(計算方法の名称までは記載なし)
三井ホームCASC-Fにより敷地・地盤・建物を分析し、一邸ごとに基礎を設計
積水ハウス木造軸組構法で唯一の型式適合認定。住宅性能表示制度の利用は任意で施主が選択
各社公式サイトの記載より(2026年8月時点)

これも優劣の表ではありません。型式適合認定は、その構法が国の基準に適合していることをあらかじめ認めてもらう仕組みです。一方、許容応力度計算は個別の建物について構造を計算する手法。どちらが上という話ではなく、安全性を確認するルートが違います。

そしてもうひとつ、混同しやすい区別があります。型式適合認定は構法についての認定であって、自分の家について第三者機関が評価した設計住宅性能評価書とは別のものです。メーカーの認定と、自分の家の評価書は違うと覚えておくと、打ち合わせでの質問が具体的になります。

何を重視するかで、見る場所が変わる

全部を横並びで検証するのは現実的ではありません。優先順位のつけ方として、次のような見方があると思います。

揺れそのものを抑えたい
今回の4社で、現行の公式サイトから免震を選択肢として確認できたのは一条工務店でした。ただし敷地と地盤の条件次第なので、土地が決まった段階で採用可否を確認するのが先になります。
計算方法まで納得したい
一邸ごとの計算を公式に明記しているのは一条工務店と住友林業。ほかの2社についても、自分のプランをどう検証するのかを打ち合わせで確認する形になります。
大きな窓と広い空間を優先したい
4社とも両立を狙っていますが、壁とフレームの使い方が各社で違います。制約になる場所も変わってくるため、最終的には実際の間取り提案を並べて比べるのが確実です。
実験データを重視したい
三井ホームと住友林業は、単一の実験について加速度や加振回数をまとめて確認できます。一条工務店は多数の地震波と試験体による検証内容を公開しています。なお三井ホームの実験は旧構法の試験体なので、現行工法の検証結果は別途たずねる必要があります。

どの軸で見ても、最後は自分の土地と間取りに落とし込んだ提案を見ないと判断できません。カタログの比較で決着がつかないのは、そもそもそういう性質の話だからだと思います。

まとめ|比べるのは数字ではなく考え方

木造4社の耐震性を公式情報だけで調べた結果を、あらためて整理します。

  • 耐震等級3は4社とも公式サイトで確認できた。この数字では差がつかない
  • 壁倍率は測っている対象が違うため、大小を比べられない
  • 実大実験も試験体・地震波・回数がそろわず、順位はつかない
  • 現行の公式ページでは、4社とも構造そのものの耐震技術を中心に説明している
  • 免震を現行で掲げているのは一条工務店。ただし敷地と地盤の条件がつく
  • 4社とも、耐震性と大きな窓・広い空間の両立を狙っている。解き方が違う

調べる前は、数字を並べれば順位がつくと思っていました。実際にやってみると、並べた瞬間に「この数字とこの数字は同じものを測っていない」と気づく作業の連続でした。

結局のところ、比べられるのはカタログの数字ではなく、地震の力をどう処理しようとしているのかという考え方と、その強さが自分の間取りでどう確認されるのかという手続きの部分です。数字の大小より、そこを聞けるかどうかで打ち合わせの質が変わります。

断熱性能についても同じ構図がありました。UA値を並べれば比較できると思っていたら、算定の条件が各社で違っていたという話です。

木造ハウスメーカー4社の断熱・気密を比較|UA値・C値だけでは分からない違い

本記事は各社の公式サイトおよびプレスリリースの記載(2026年8月時点)をもとに構成しています。仕様や取り扱いは変更される場合がありますので、最新の情報は各社にご確認ください。記載に誤りがありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。