ヘーベル板
ダインコンクリート
キラテック
鉄骨メーカーの展示場をまわると、各社が自社の外壁を大きく訴求してきます。分厚い、燃えない、汚れない、塗り替えが要らない。実物を見せられると説得力もあります。
ただ正直に書くと、私は8社の営業と面談しながら、外壁をほとんど比較軸に入れていませんでした。構造も耐震も断熱も価格も各社を調べて比べたのに、外壁だけは「まあサイディングよりALCのほうが強いだろう」くらいの認識で通過していたんです。
それが本当に妥当だったのか、改めて各社の公式情報を調べ直しました。
結論を先に書きます。調べ終えて残ったのは、外壁の差がなくなったのではなく、外壁材の名前だけでは差を判断できなくなったという感覚でした。少なくとも耐候性やメンテナンス性だけを理由に、外壁材で住宅会社を選ぶ意味は以前より小さくなっていると感じます。
この記事では、何が分かってそう考えたのかを順番に整理します。
①鉄骨6社でも外壁の種類はかなり違う
まず全体像です。6社の代表的な外壁を並べると、こうなります。
| メーカー | 代表的な外壁 | 大分類 | 表面の守り方 |
|---|---|---|---|
| ヘーベルハウス | ヘーベル板 | ALC(軽量気泡コンクリート) | 塗装 |
| 積水ハウス | ダインコンクリート、セラブリッド | プレキャストコンクリート系など | 塗装 |
| 大和ハウス | ベルサイクスなど | 窯業系サイディング | 塗装 |
| トヨタホーム | ニューセラミックウォール、タイル | 窯業系サイディング+タイル | 塗装または無塗装 |
| パナソニック ホームズ | キラテック | 光触媒タイル | 無塗装 |
| セキスイハイム | レリーフウォール(標準)、磁器タイル | ボード系+タイル | 塗装または無塗装 |
こうして改めて調べて表にしてみると、各社でかなり分かれていました。
ヘーベルハウスはALCのヘーベル板、積水ハウスはダインコンクリート、パナソニック ホームズは光触媒タイルのキラテック。一方で、大和ハウスとトヨタホームの主力外壁は窯業系サイディングです。大和ハウスのベルサイクスは公式に「窯業系外壁材」と紹介されていますし、トヨタホームのニューセラミックウォールも同じ系統です。
セキスイハイムは少し違って、標準は塗装で表面を守るボード系のレリーフウォール、上位仕様として磁器タイルがあります。
ここでひとつ補足しておきたいことがあります。同じメーカーの中にも外壁のグレードがあります。セキスイハイムは上記の通りで、積水ハウスのダインコンクリートは公式に「最高級外壁材」と位置づけられていて、ほかにセラブリッドという外壁もあります。つまりメーカー名と外壁が1対1で結びついているわけではなく、どのグレードを選ぶかによって仕様は変わります。
ALC、プレキャストコンクリート系、窯業系サイディング、タイル、ボード系と、同じ鉄骨系の大手6社でも採用している外壁はかなり違います。
②私が外壁を比較軸に入れなかった理由
ここで自分の話を挟みます。
構造、耐震、断熱と気密、価格。このシリーズで書いてきたテーマは、どれも検討中に自分で表を作って比べたものです。ところが外壁については、素材の名前を知っている程度で終わっていました。
理由を振り返ると、ひとつはっきりしています。外壁は単体で選べる項目ではないからです。
断熱材の厚みや窓のグレードは、同じメーカーの中でも仕様を変えられます。でも外壁は、メーカーを決めた時点で選択肢がかなり絞られます。ヘーベルハウスならヘーベル板、積水ハウスならダインコンクリートやセラブリッドなど、基本的にはそのメーカーが用意した外壁の中から選ぶことになるため、比較しようという意識が働きにくいんですよね。
もうひとつは、単純に情報が古かったことです。サイディングというと、10年から15年ごとに塗り替えが必要で目地が劣化していくもの、という古いイメージのまま止まっていました。
しかし調べてみたら、そのイメージはかなりずれていたことが分かりました。
③独自外壁の公式スペックを読む
先に独自開発の外壁側の公式情報を押さえます。ここは各社ともよく整備されていて、数字も出ています。
ヘーベル板(ヘーベルハウス)
我が家の外壁でもあるALCです。公式サイトで確認できた内容を挙げます。
- 比重0.6という、水に浮く軽さ
- 10気圧の高圧蒸気と180℃の高温で養生し、強固なトバモライト結晶を生成
- 表面を60分間で945℃まで上昇させ続ける耐火試験をクリアした、国土交通大臣認定の耐火構造部材
- 75mmの壁で、70dBの外の騒音を30dBまで低減
- 一般的なコンクリートの約10倍の断熱性能
- 雨や日光にさらされても強度低下や寸法変化がほとんどなく、高い性能を60年以上維持
厚みについて補足します。ヘーベルハウスの外壁に使われるヘーベル板は75mm以上で、旭化成建材の製品ページでも、外壁パネルはパネル厚75mm以上と記載されています。
ここは検索すると少し紛らわしいところです。旭化成建材はパネルの厚さによって製品名を分けていると公式に説明していて、75mm以上が「ヘーベル」、50mmが「ヘーベルライト」、37mmが「ヘーベルパワーボード」の3ブランドになります。ヘーベルは主に鉄骨造の住宅やビル、ヘーベルライトは商業施設や集合住宅、ヘーベルパワーボードは木造住宅というように使い分けられています。
「ヘーベル 外壁 厚さ」などで検索すると37mmという数字も出てきますが、それは木造住宅向けのヘーベルパワーボードのことです。比較するときは、どの製品について書かれた情報なのかを確認する必要があります。

ダインコンクリート(積水ハウス)
6社の中で、外壁について最も踏み込んだ数字を公開していたのが積水ハウスでした。
- オートクレーブ養生によりトバモライト結晶を生成し、独立気泡によって水が侵入しづらい構造
- 圧縮強度は平均12.7N/mm²以上
- 表面が840℃に達しても室内側の壁面温度を40℃以下に抑え、防火構造として国土交通大臣の認定
- 高耐候クリア塗装「タフクリア-30」と防汚塗装、高耐久目地の組み合わせで、塗り替えサイクルは約30年
特筆したいのは最後の項目です。積水ハウスは公式サイトで、従来の外壁の塗り替えの目安は約15年で、タフクリア-30を施した外壁はその約2倍の30年になると明記しています。目地材も高耐久化していると書いてあります。
塗り替えの間隔を年数で公表している会社は、6社の中では他に見つかりませんでした。しかも「従来は約15年」という比較の土台側も自分で書いている。この数字は、あとで出てくる「30年」を読むときの基準点になります。
タイル系(パナソニック ホームズ、セキスイハイム)
塗装で守るのではなく、そもそも塗らないという方向です。
パナソニック ホームズのキラテックは、タイル表面に光触媒を持たせた外壁です。太陽光で親水性と分解力が生まれ、雨水が汚れを浮かせて洗い流すセルフクリーニング効果を訴求しています。2004年の発売から2024年3月までの20年間で、戸建てと集合を合わせて10万棟分を出荷したと公式に書かれています。
ここで注目したいのは、公式が自分で限界条件を書いていることです。
- 軒下など、雨水がかからない部位
- 鉄さび、黄砂、シリカスケールなどの無機汚れ
- こけ、鳥や虫の糞、樹液、換気扇下の過度な油汚れなど、分解能力を超える汚れ
これらの場合はセルフクリーニング効果が十分に発揮できないことがある、と注記されています。セルフクリーニングは万能ではなく、雨が当たる面で機能する仕組みだということですね。訴求の裏側まで書いている姿勢は、むしろ信頼できると感じました。
セキスイハイムは構成が二段になっています。標準は木の繊維と熱硬化型セメントを使ったボードで、顔料を含まないクリア塗装で表面を守るタイプ。上位仕様が磁器タイルで、こちらは無塗装のため塗り替えが不要です。工場の平らな床でタイルを機械貼りするという生産方式も、ユニット工法らしい特徴です。
④最新サイディングの公式スペックを読む
ここが今回いちばん認識を改めた部分です。窯業系サイディングの大手2社を、同じように公式情報で調べました。
ニチハ「プレミアムシリーズ」
塗膜に「プラチナコート30」という超高耐候塗料を採用したシリーズです。公式サイトの説明が具体的でした。
- 無機塗料は色あせに強いが塗膜のひび割れが起こりやすいという弱点を、有機塗料のしなやかさを配合して補った設計
- 分子に443kJ/molの結合エネルギーを持つSi-O結合を含み、紫外線エネルギー413kJ/molを上回る安定した結合力
- 窯業系サイディングとして業界で初めて、塗膜の変色・褪色30年保証に対応
- セルフクリーニング機能は「マイクロガード」
目地についても手が入っています。「Fu-ge PREMIUM」は四方合いじゃくりという納まりで、左右の接合部にシーリング目地が不要な仕様です。
防耐火の面では、Fu-ge PREMIUMとグランスペック60 PREMIUMが準耐火1時間と耐火4等級を取得し、国土交通大臣認定の準不燃材料でもあると記載されています。厚みは16mmから18mmが基本です。
旭トステム外装「AT-WALL ガーディナル」
LIXILグループの外装建材メーカーです。こちらは保証がグレードで階段状になっていました。
| 塗膜 | シリーズ | 保証 |
|---|---|---|
| セルフッ素コート・EXE30 | AT-WALL 18VZ(ガーディナル) | 30年 |
| セルフッ素コート・EXE/Archi | 15EN・15E・15EF、Archi | 20年 |
| セルフッ素コート・PLUS | 15PZ・15P・15PF | 15年 |
最上位のガーディナルは厚み18mmで、シーリングレス工法が特徴です。汚れについては、親水機能によって北面でも日陰でも夜間でもセルフクリーニング効果を発揮すると書かれています。
そして、進化のスピードを示す一文がありました。
同社は自社のコラムで、2015年ごろには業界最長15年保証だった窯業系サイディングの耐候性が、飛躍的に進化したと書いています。ガーディナルの塗膜30年保証が始まったのは2018年11月です。
2015年ごろには業界最長15年保証だったものが、その数年後には30年保証まで登場しています。私が「サイディングは10年ごとに塗り替え」と思っていた認識は、まさにこの前の時代のものでした。
⑤外壁の「○年」は何の年数か
ここまで調べて、比較が難しい理由がはっきりしました。
外壁の情報を調べていると、「30年」「60年」という数字がたくさん出てきます。ただし、この数字は同じ意味ではありません。
特に分かりやすいのが積水ハウスのダインコンクリートです。公式には「耐用年数60年以上」とされていますが、同時に「30年目に外壁塗装、シーリングのメンテナンスが必要」と書かれています。
60年以上使えることと、60年間何もしなくていいことは別です。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 外壁材の耐用年数 | 外壁材そのものを使用できる期間の目安 | ダインコンクリート:耐用年数60年以上。 ただし30年目に塗装・シーリングのメンテナンスが必要 |
| メンテナンスサイクル | 塗装・目地などを補修・更新する時期の目安 | 積水ハウス タフクリア-30で約30年(従来は約15年) |
| 保証年数 | 一定条件のもとで保証される期間 | ニチハ 塗膜の変色・褪色30年/旭トステム 30年・20年・15年 |
「30年もつ」と「30年塗り替え不要」と「30年保証」は、同じ意味ではありません。ここを混ぜて読むと、30年と書いてあったのになぜもっと早くメンテナンスが必要になるのか、という混乱につながります。

保証年数にも条件が付く
さらに、保証年数の中にも条件があります。ニチハの表記を並べると、こうなっていました。
| 対象 | 保証年数 |
|---|---|
| 製品本体 | 10年 |
| プラチナコート30(塗膜の変色・褪色) | 10年 |
| プラチナシール(凝集破壊・白化) | 15年 |
| Wプラチナ(塗膜の変色・褪色) | 30年 |
プラチナコート30単体では変色・褪色10年保証で、プラチナシールと同時に使ったときにWプラチナとして30年保証になる、と表記されています。あわせて沖縄県の物件は対象外で、保証書の発行には諸条件があるとも書かれています。
塗膜だけでなく、シーリングと組み合わせた仕様として30年という数字が出てくる形ですね。保証の詳細については、営業所やお客様相談室への問い合わせを案内しているため、条件の全容は公式サイトだけでは分かりません。
この構造は、シリーズでずっと見てきたものと同じです。耐震等級3にも条件が付き、標準仕様にも条件が付き、保証年数にも条件が付く。訴求されている数字の後ろに何が書いてあるかを読む作業は、外壁でも必要になります。
その保証は誰と誰の約束か
もうひとつ、見落としやすい点があります。
旭トステム外装の公式サイトには、保証について「住宅会社様と旭トステム外装株式会社との間で、保証規定に基づいた契約を締結します」と書かれています。
少なくとも今回確認した旭トステム外装では、保証の契約は住宅会社と建材メーカーの間で結ばれるということです。
つまり、建材メーカーのサイトに書かれている「30年保証」と、施主が住宅会社から受ける保証は、同じものとは限りません。年数だけを横に並べても比較にならない可能性があるわけです。
ちなみに「著しい変褪色」という言葉の定義も、同社の公式サイトに置かれていました。建築後の年数を考慮して外壁材の外観が見苦しく、社会通念上明らかに補修が必要とされる場合を指す、という説明です。保証の対象には程度の線引きがあるということですね。
ハウスメーカー側の保証の中身については、我が家の保証書をもとに別記事でまとめる予定です。この記事では外壁材そのものの比較に絞ります。
⑥調べて分かった7つの違い
調べた内容を軸ごとに整理します。優劣をつける表ではなく、確認できた事実を並べた表です。
| 軸 | 調べて分かったこと |
|---|---|
| 塗膜の耐候性 | サイディングにも変色・褪色30年保証に対応した商品がある |
| 防汚 | 独自開発の外壁・サイディング双方にセルフクリーニング技術がある |
| 目地 | 最新のサイディングには、シーリングを減らす納まりの商品がある |
| 防耐火 | サイディングにも高い防耐火認定を取得した商品がある |
| 再塗装の要否 | タイルは無塗装のため再塗装が不要という違いが残る |
| 厚み | 16〜18mmのサイディングと75mm以上のヘーベル板には明確な差がある |
| 保証 | 建材メーカーの保証と、住宅会社から施主への保証は分けて考える必要がある |
意外だったのは目地です。ALCでもプレキャストコンクリートでも、外壁材だけで壁が成立しているわけではありません。パネル同士をつなぐ部分があり、そこには目地の処理が必要になります。
実際、積水ハウスの公式サイトには、ダインコンクリートの耐用年数60年以上という記載とあわせて、30年目に外壁塗装とシーリングのメンテナンスが必要だと注記されています。厚みのある外壁でも、目地の更新は前提になっているわけです。
一方、今回調べた最新のサイディングには、シーリングを減らす納まりの商品もありました。ただしシーリングレスと表現されていても完全にゼロというわけではなく、建物の形状や部位によってはシーリング納まりになる部位があると公式に注記されています。ここも条件付きです。
逆に、厚みの差は変わりません。16mmと75mmでは物理的に別物です。遮音や蓄熱の体感に効いてくる部分ですが、これは外壁だけで決まる話ではなく、断熱材や窓、換気の設計と合わせて考える必要があります。
⑦まとめ|素材名だけでは判断できない
今回分かったことを整理します。
- 鉄骨6社のうち、大和ハウスとトヨタホームは窯業系サイディングが主力で、独自開発の外壁を主力にしているのは一部
- 同じメーカーの中にも外壁のグレードがあり、メーカー名と外壁が1対1で決まるわけではない
- 窯業系サイディングにも変色・褪色30年保証に対応した商品が登場し、防耐火や目地についても認定や新しい納まりが出ている
- 外壁に出てくる「○年」は、外壁材の耐用年数、メンテナンスサイクル、保証年数など意味が違う
- 保証年数にも条件があり、建材メーカーの保証と施主が受ける保証は同じものとは限らない
- 厚みと、再塗装が要るかどうかについては、はっきりした違いが残る
そのうえで、外壁を比較軸に入れなかった私の判断は妥当だったのか。
結果としては、大きく外していなかったと思っています。ただ、調べる前と後で変わったのは結論ではなく、判断のしかたでした。
調べる前の私は、ALCやタイルのほうがサイディングより上だと思っていました。調べたあとに残ったのは、外壁の差がなくなったのではなく、外壁材の名前だけでは差を判断できなくなったという感覚です。
ALCだから長持ち。サイディングだから10年で塗装。タイルだからメンテナンス不要。こうした素材名から結論へ直行する読み方が、もう成り立たなくなっているんですよね。同じサイディングの中に15年保証と30年保証があり、同じタイルでも目地や固定部材は残ります。
ひとつ反省があります。塗り替えの推奨サイクルと、外壁の保証条件は聞いておくべきでした。これは外壁材の優劣とは別に、将来の出費のタイミングを左右する情報です。しかも契約前でなければ選び直せません。
これから検討する方は、外壁の銘柄を調べるより、次の3つを営業担当に聞くほうが実用的だと思います。
- 塗り替えの推奨サイクルは何年で、その根拠は何か
- 外壁の汚れや色あせに対して、標準仕様として何が入っているか
- 外壁材、塗装、目地はそれぞれ何年保証され、その保証を維持する条件は何か
3つめが、おそらく一番効きます。年数を聞くだけでは足りず、その年数を維持する条件まで確認しておく。このシリーズで繰り返し書いてきた「数字の後ろにある条件を読む」という作業が、外壁でもそのまま必要になります。
各社の保証年数や標準仕様の考え方については、価格の記事でも扱っています。
複数社の情報をまとめて集めるなら
ここまで書いてきた内容は、公式サイトを1社ずつ見ていけば集められます。ただ、外壁の仕様やメンテナンスの考え方は、カタログや間取りプランと一緒に受け取ったほうが比較しやすいのも事実です。
私が実際に使ったサービスの体験談は、こちらの記事にまとめています。
本記事の各社の外壁に関する記述は、各社および建材メーカーの公式サイト・ニュースリリースの記載にもとづく2026年8月時点の内容で、仕様や保証条件は変更される可能性があります。正確を期していますが誤りがあればお問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。
