全館空調は電気代が高い?太陽光9.27kW・24時間運転の7月実績

全館空調は電気代が高い?太陽光9.27kW・24時間運転の7月実績

全館空調は電気代が高い」とよく言われます。

我が家はヘーベルハウスで建てた二世帯住宅で、夏は1階と2階の全館空調を24時間運転しています。

屋根には太陽光9.27kW、蓄電池6.5kWhも載せていて、7月の消費電力量は1,038kWh。確かに少なくありません。それでも7月は、電気の収支がこれまでで最も厳しい結果になりました。

ただ、実測データを調べていくと、「全館空調だから高い」とは言い切れない結果が見えてきます。

7月の買電量のうち、約91%は18時から翌朝6時までに発生していました。昼間はほとんど電気を買っていません。

今回は、太陽光9.27kWと全館空調2台を運用した7月の実績を、6月と比較しながら検証していきます。

7月の実績まとめ

  • 発電量:884kWh(6月比約29%増)
  • 仮収支:約▲14,400円
  • 買電の約91%が18時から翌朝6時に集中
  • 蓄電池が夜にまかなえたのは1晩あたり1.9kWh
  • 全館空調の夜間消費は、個別エアコン5台の簡易試算の範囲内だった

太陽光・蓄電池と我が家の条件

発電量や消費電力量は、設備容量だけでなく、住宅の大きさや家族構成によって大きく変わります。比較の前提として、我が家の条件を載せておきます。

  • 太陽光パネル:サンテック 9.27kW
  • 蓄電池:オムロン KP-BU65B-S(容量6.5kWh)
  • パワーコンディショナ:オムロン KPBP-A-2(5.9kW)
  • 過積載率:約157%
  • 家族構成:二世帯6人+わんこ
  • 全館空調:1階・2階の2台を24時間運転
  • 給湯・コンロ:ガス

一般的な4人家族の住宅より床面積も人数も多いため、消費電力量そのものを単純比較できない点にはご注意ください。

①7月の結論|発電は回復、収支は悪化

7月の太陽光発電データ

7月の総発電量は883.5kWh。梅雨だった6月の687kWhから約29%回復しました。天候に恵まれた5月の1,014kWhと比べると約13%少ないものの、ほとんど発電しない日はほぼなく、比較的安定した月でした。蓄電池が100%に到達した日も31日中27日あります。

それでも、電気の収支は6月よりさらに悪化しました。

項目6月7月
発電量687kWh884kWh
消費電力量571kWh1,038kWh
売電量477kWh430kWh
買電量335kWh608kWh
仮収支▲4,100円▲14,400円
仮収支は売電16円/kWh・買電35円/kWhで試算

なおここでいう仮収支は、売電収入から買電額を差し引いた金額です。基本料金や燃料費調整額を含まないため、実際の請求額とは一致しません。

消費電力量が1,038kWhまで増えたのは、夏本番に入り、1階と2階の全館空調を24時間運転したためです。我が家は3世代6人の二世帯で日中も誰かしら人がいることが多く、さらに留守番中のワンコがいるため全館空調を採用しています。

※HEMSでは晴天時の日中に消費量が0.000kWhと表示される時間帯があるため、消費電力量は参考値として扱い、収支は売電量・買電量の実測値をもとに検証しています。

②なぜ発電が増えたのに収支が悪化したのか

7月の発電量は6月より約197kWh増えました。ところが、売電量は約47kWh減っています。

理由は明快で、増えた発電を家の中で使ったからです。晴れた日は全館空調を動かしていても、昼間の消費を太陽光でまかないながら余った分を売電できています。冷房で使う分が増えたぶん、売電に回る余剰が減りました。

つまり、太陽光の効果が小さくなったのではなく、太陽光の価値が売電収入から電気代の削減へ移った、というのが7月の実態です。

では、収支を悪化させたのは何だったのか。30分ごとのデータを昼と夜に分けて集計しました。

時間帯6月の買電7月の買電変化
6〜18時72.8kWh52.8kWh減少
18〜翌6時261.9kWh555.6kWh約2.1倍

昼間の買電は、冷房需要が大きく増えたにもかかわらずむしろ減っています。一方、夜間は約294kWh増加。7月の買電608kWhのうち、約91%が18時から翌朝6時に集中していました。

これを金額に直すと、原因がはっきりします。

時間帯6月7月
6時〜18時+5,078円+5,036円
18時〜翌6時▲9,165円▲19,444円
合計▲4,087円▲14,408円

昼間の収支は、6月も7月も約+5,000円でほとんど変わりません。にも関わらず月間で約10,300円悪化しましたが、そのほぼ全額が夜間の収支悪化によるものでした。

昼間は太陽光で冷房をまかない、夕方から蓄電池を使い、夜間の長い時間を買電に頼る。7月の収支を決めたのは、全館空調を使ったこと自体ではなく、太陽光が発電しない時間帯の長さでした。

③全館空調は個別エアコンより高かったのか

ここまでのデータを見ると、「やっぱり全館空調は電気代がかかる」と思われたかもしれません。

ただ、比べるべき相手は「冷房を使わない暮らし」ではなく、「個別エアコンで、夜間に必要な寝室とLDKを冷房した場合」のはずです。

その前に、どれくらいの快適さを保っていたのかを確認しておきます。LDKに置いた温湿度計によると、7月11日から17日の深夜1〜5時の室温は25.0℃・湿度60%。外気が33.5℃まで上がった週でも、室内は28.0℃を超えていません。設定を緩めて電気代を抑えていたわけではない、という前提です。

深夜の実測から、全館空調の消費を切り出す

家族が寝ていて家電がほとんど動かない、深夜1時から5時の実測値を使います。

深夜1時〜5時の平均消費実測値
7月の平均1.51kW
6月で消費が少なかった夜(上位8日)0.45〜0.50kW
差≒全館空調2台による消費増約1.0〜1.1kW

6月は冷房負荷の小さい夜が続き、深夜の消費が0.45〜0.50kWに集中した日が8日ありました。単日の偶然ではないため、これを住宅全体のベース消費の目安としています。

7月の1.51kWからこれを引いた約1.0〜1.1kWが、全館空調2台で家全体を冷やしていたときの消費です。

個別エアコンだったら、どうなっていたか

夜に冷房が必要な部屋は、家族が寝る寝室に加えて、ワンコが過ごすLDK。合わせて5台が動くことになります。仮に1台あたり0.2〜0.4kWで安定運転すると置くと、次のようになります。

項目全館空調(実測から推定)個別エアコン(仮定)
稼働台数2台5台
深夜の消費約1.0〜1.1kW約1.0〜2.0kW
冷房される範囲家全体寝室とLDKのみ

全館空調の推定値は、個別エアコンの想定範囲の中の下限値となりました。どちらが安いと断定することはできませんが、少なくとも「全館空調の方が高い」とは言えない結果でした。

ただ、ひとつだけ確実な違いがあります。冷房される範囲です。

全館空調は、この消費で寝室やLDKだけでなく、サブリビング、ユーティリティ、廊下やホールまで同じ温度に保っています。個別エアコンなら、これらの空間は冷えません。

少なくとも今回のデータだけで、「全館空調だから極端に電気代が高くなった」と結論づけることはできませんでした。

※個別エアコン側は一般的な想定値による簡易試算であり、実測値ではありません。部屋の広さ、断熱性能、機種によって変わります。

なお、「断熱性がもっと高ければ電気代は安くなったのでは?」という疑問については、実測した室温と外気温を使って別記事で試算する予定です。

④蓄電池6.5kWhでは真夏の夜をまかなえない

夜間の買電がこれだけ増えた背景には、蓄電池の限界があります。1晩あたりに直すと、はっきりします。

1晩あたり(18時〜翌6時)6月7月
消費量11.9kWh20.2kWh
買電量8.7kWh17.9kWh
蓄電池の放電量2.9kWh1.9kWh

7月に蓄電池が夜間にまかなえたのは、1晩あたりたった1.9kWh。夜間消費20.2kWh1割にも届いていません。

理由は二つ。

一つ目は夕方までに放電が大きく進み、夜間へ残せる電力量が少なくなっていたことです。7月の6〜18時の放電84.0kWhのうち、約63%が16時台と17時台に集中していました。朝や日中ではなく、夕方の冷房負荷で日没前から大きく消費していたことになります。

二つ目はシンプルに夜間の消費量が多かったことです。夜間消費20.2kWhをまかなうには、現在の6.5kWhから多少大型化した程度では埋まらない差でした。

晴れた日を比べると、違いがよく分かる

6/1(春〜初夏)の一日の太陽光発電データ
7/23(真夏)の一日の太陽光発電データ

同じ縮尺で6月1日と7月23日を並べたグラフです。発電量は45.0kWhと40.3kWhで、むしろ6月1日のほうが多い日でした。それでも買電量は6月は8.3kWh、7月は22.5kWhへと2.7倍に増えています。

6月1日は夕方以降もしばらく蓄電池で消費をまかなえていましたが、7月23日は18時頃に蓄電残量が下限へ到達。その後は翌朝まで買電が続きました。

昼間に発電して蓄電残量が100%になったとしても、6.5kWhの蓄電池の容量では夜まで持ちません。太陽光と蓄電池があっても、発電する時間と電気を使う時間のずれは完全には解消できないのです。

⑤売電は減ったが、太陽光があってよかった

7月は売電量が減り、仮収支もマイナスになりました。それでも、太陽光を載せてよかったという考えは変わっていません。

我が家の想定では、買電は約35円/kWh、売電は16円/kWh。昼間に発電した電気を冷房に使う場合、35円で電気を買う代わりに、16円で売れた電気を自宅で使うことになります。

そのため、「電気代がもったいないから、暑くても冷房を弱めよう」という感覚がありません。

高齢の両親、子ども、そして留守番中のワンコがいる我が家にとって、暑さを我慢せず、家のどこにいても快適に過ごせることは大きな安心につながっています。

なお、夜間の買電がこれだけ大きいとなると、電力プランの見直しも選択肢になりそうです。ただし、太陽光が出ない冬のデータを見ないと判断できません。1年分のデータが揃ってから、あらためて検証したいと思います。

まとめ|真夏の電気代を決めたのは夜間だった

  • 7月の発電量は884kWhで、6月から約29%回復した
  • それでも売電量は減り、仮収支は約▲14,400円まで悪化した
  • 月間買電の約91%が18時から翌6時に発生していた
  • 蓄電池が夜にまかなえたのは1晩あたり1.9kWhにとどまった
  • 簡易試算では、全館空調の消費が個別エアコンより明らかに大きいとは言えなかった
  • 太陽光の価値は、売電収入から自家消費による電気代削減へ移った

7月は「太陽光が発電しなかった月」ではありません。発電量は6月からしっかり回復していました。

それでも収支が悪化したのは、発電が止まる夕方から翌朝まで、冷房による消費が続いたためです。24時間空調の電気代を左右するのは、昼ではなく夜でした。

電気代はそれなりにかかりますが、家全体を24時間快適に保ち、暑さを我慢するストレスがない。その暮らしまで含めれば、我が家にとっては納得できる結果でした。

今後も8月以降のデータを記録し、真夏のピークや秋に向けて発電量・消費量がどう変化するのか検証していきます。

6月の太陽光発電実績と、梅雨時の全館空調による室温・湿度の変化は、それぞれ下記の記事で詳しく検証しています。