太陽光発電と蓄電池の夏3か月|昼は黒字なのに電気代がゼロにならなかった理由

太陽光発電と蓄電池の夏3か月|昼は黒字なのに電気代がゼロにならなかった理由

太陽光発電と蓄電池があれば、電気代はぐっと安くなる。

入居前はそう思っていました。

我が家は太陽光パネル9.27kWと蓄電池6.5kWhを載せた家で、全館空調を24時間動かしています。今回は6月・7月・8月の30分ごとの実測データを3か月分つないで、夏の電気代がどう変わっていったのかを追いかけてみました。

月ごとの発電データはこれまでも記事にしてきましたが、3か月のデータを並べると、単月では気づけなかったことがいくつも出てきます。結論から言うと、太陽光発電によってしっかりと得していました。ただし、電気代がゼロになるほどではありませんでした

①結論|得はしたが、電気代はゼロにならなかった

夏の3ヶ月の電気収支結果。太陽光発電+蓄電池によって約58000円分の効果

6月から8月にかけて、我が家の消費電力量は571kWhから1,051kWhへ、およそ1.8倍に増えました。全館空調がフル稼働する季節なので、これ自体は想定内です。

そんななかでも、太陽光と蓄電池はしっかり働いてくれました。3か月でおよそ58,000円ぶんの効果です。内訳は後ほど詳しく見ていきます。

それでも、電気代はゼロにはなりませんでした。3か月の収支は約34,700円の持ち出しです。9.27kWという決して小さくない搭載量で、蓄電池まで載せているのに、なぜ足りなかったのでしょうか。

理由は、太陽光の恩恵が届く時間が限られていることにあります。発電しているあいだと、蓄電池が持ちこたえているあいだ。それを過ぎた深夜から早朝には、どちらも届きません

そして我が家は夏、消費の6割以上が夜に集中していました。昼の電気収支は3か月でほとんど動かず、悪化した分の97%が夜に発生していたのです。

ちなみにこの3か月のあいだ、家の中は朝から晩までずっと快適でした。どの部屋もほぼ同じ温度で、寝苦しい夜も、帰宅直後のもわっとした空気もありません。電気代だけを見て「損だった」と感じているわけではなく、夏を快適に過ごすための必要経費だと割り切っているので、トータルとしては満足しています。

この記事で伝えたい結論は、次の一文に集約されます。

太陽光と蓄電池は、夏でもしっかり電気代を減らしていました。ただ、最後に電気代を決めていたのは、そのどちらも届かない深夜から早朝の消費でした。

②6〜8月の実測データ|3か月を並べて比較

まず数字を置いておきます。売電は16円、買電は請求額から逆算した実質的な平均単価およそ35円で計算しています。

項目6月7月8月
発電量686.6kWh ※883.5kWh848.3kWh
消費電力量571.0kWh1,038.0kWh1,050.8kWh
売電量476.8kWh430.2kWh442.3kWh
買電量334.8kWh608.3kWh665.7kWh
電気収支−4,089円−14,407円−16,223円
※6月の発電量はHEMSのデータに一部不整合が確認されているため参考値です

気になるのは売電量です。消費が1.8倍になったのだから、自家消費が増えて売電が大きく減っていそうなものですが、実際には476.8kWhから442.3kWhへ、34.5kWhしか減っていません。

金額にすると552円です。3か月で12,000円以上悪化した収支のうち、売電の減少で説明できるのはわずか4.5%にとどまりました。

「夏は自家消費が増えて売電が減るから収支が悪くなる」という説明を見かけますが、我が家のデータには当てはまりませんでした。

③58,000円の内訳|売電より自家消費が効いていた

①で出した58,000円が、どこから生まれたのかを分解してみます。

項目6月7月8月合計
太陽光・蓄電池がなかった場合19,987円36,331円36,780円93,097円
実際の支出(買電−売電)4,089円14,408円16,223円34,719円
太陽光と蓄電池による差額15,899円21,922円20,557円58,378円
※6月の消費電力量は参考値のため、6月の効果はやや小さめに出ている可能性があります

内訳は、自分の家で使ったことによる買電の回避が約36,800円、売電収入が約21,600円。売るより使うほうが効いています

理由は、買う電気と売る電気の値段が違うからです。買えば35円かかる電気を、自分で作って使ってしまえば、売ったときの16円より2倍以上の価値になります。昼にそのまま使っても、蓄電池に貯めて夕方に使っても同じです。この3か月は、作った電気の45%を自分の家で使えました。

そしてもうひとつ、月ごとの効果額に注目してください。6月が15,899円、7月が21,922円、8月が20,557円。電気代の収支は月を追って悪化していたのに、太陽光が働いた金額はむしろ増えていました。

消費が増えたぶん、昼のうちに太陽光が肩代わりする量も増えていたからです。電気代が上がったのは、太陽光の働きが落ちたからではありません。前の月より多く稼いでいたのに、それでも届かない時間帯があった。それが夏の実態でした。

なお、この58,000円は「今と同じ使い方を、買う電気だけでまかなったら」という比較です。太陽光があるから昼に気兼ねなく使えている面もあるので、まるまる浮いたお金というわけではありません。また夏は太陽光にとって最も条件のよい季節なので、4倍しても年間の効果にはならない点にも注意が必要です。

それでも、確かに得はしていました。問題は、これだけ働いてもなお電気代がゼロにならなかったことです。ここから先は、その理由を追っていきます。

④昼の電気収支は3か月ずっと黒字だった

では、これだけ働いてもなお電気代がゼロにならなかったのはなぜか。30分データを昼(6時〜17時30分)と夜(18時〜翌5時30分)に分けて、それぞれの収支を計算してみました。

6〜8月の昼と夜の太陽光発電収支比較グラフ
時間帯6月7月8月6月→8月
昼の収支+5,078円+5,036円+4,709円−369円
夜の収支−9,165円−19,444円−20,931円−11,766円

昼の収支は、梅雨の6月も猛暑の8月も、ほとんど同じでした。3か月で動いた幅は369円です。

一方で夜は9,165円のマイナスから20,931円のマイナスへ。悪化した12,134円のうち、97%が夜に発生していたことになります。

太陽光が発電している時間帯は、猛暑でエアコンの負荷が増えても、電気収支はほぼプラスを維持していました。数字を並べるまで、ここまではっきり分かれるとは思っていませんでした。

⑤夏の電気は3段階|深夜から早朝は買うしかない

もう少し細かく、6時間ごとに区切って見てみます。1日あたりの平均値です。

時間帯項目6月7月8月
0〜6時消費5.128.799.85
買電4.868.519.68
蓄電池の放電0.000.000.00
12〜18時消費3.208.157.72
買電0.650.660.83
蓄電池の放電0.732.592.51
18〜24時消費6.8111.4111.24
買電3.879.419.61
蓄電池の放電2.851.921.59
単位はkWh/日

12〜18時を見てください。消費が3.20kWhから7.72kWhへ4.5kWh以上増えているのに、買電は0.65kWhから0.83kWhへ0.18kWhしか増えていません。増えた分は太陽光と蓄電池でまかなえています。

対して0〜6時は、消費が4.7kWh増えたぶん、買電がほぼそのまま4.8kWh増えました。放電はゼロです。8月の0〜6時は、消費9.85kWhに対して買電9.68kWh。使った電気のほぼ全量を買っている状態でした。

整理すると、我が家の夏の1日はこういう3段階になっていました。

夏は昼間発電し、夕方過ぎには蓄電池を使い切り、夜間は買電担っていることを示した図解
  • :太陽光で収支はプラス。消費が増えても買電はほとんど増えない
  • 夕方:蓄電池でしのぐ。18時台に一気に放電する
  • 深夜から早朝:買うしかない。使った分をほぼそのまま買っている

同じ1kWhでも、昼に使うか深夜に使うかで家計への効き方がまったく違います。この構造が、以降の話の土台になります。

全館空調を入れると電気代が跳ね上がるのでは、と心配される方も多いのではないでしょうか。ただ我が家のデータを見る限り、昼間に増えた消費の多くは太陽光でまかなえていました。この点は7月の記事でも詳しく書いています。

⑥暑い夜ほど買う電気が増える|外気温1度あたり約62円

夜の買電が何で決まっているのかを調べるため、気象庁の観測データから夜間の平均気温を取り出し、その日の夜間買電量と並べてみました。夜を18時から翌朝6時までで区切っている関係で、8月31日の夜は翌朝のデータが揃わないため除いています。合計91日分です。

夜間の気温が高い日は買電量が増え、気温と買電量の相関が高いことを示したグラフ

驚くほどきれいに並びました。夜の外気温が1度高い日は、夜間の買電が約1.75kWh多いという関係です。実質的な平均単価35円で換算すると、1晩あたり約62円になります。

といっても「1度上がれば必ず62円高くなる」という意味ではありません。暑い夜ほど買う電気が多くなる、という傾向がはっきり出たということです。

「猛暑だから電気代が高い」という言い方は、我が家の場合、1度あたり62円という具体的な数字に置き換えられるということになります。

ちなみに最低気温が25度以上(熱帯夜相当)だった日は、6月が0日、7月が15日、8月が11日。夜の気温がそのまま電気代に響くということは、住んでみて初めての発見でした。

⑦蓄電池はほぼ毎日満充電|賄えたのは12%

ここが今回いちばん意外だったところです。

項目6月7月8月
満充電になった日23/30日27/31日28/31日
夜間の放電量2.85kWh/日1.92kWh/日1.59kWh/日
残量が2割を切る時刻21時ごろ19時ごろ18時30分ごろ
自給率41.4%41.4%36.7%
自給率は「1−買電量÷消費電力量」で計算

満充電になる日は6月の23日から8月の28日へ増えています。ほぼ毎日フル充電できている計算です。

それなのに、夜に放電できた量は2.85kWhから1.59kWhへ、4割以上減りました。残量が2割を切る時刻も21時から18時30分へと、3時間近く早まっています。

理由は⑤の表にあります。夏は12〜18時の消費が大きいため、太陽光だけでは足りなくなった夕方から蓄電池が動き出してしまうのです。6月に0.73kWhだった昼間の放電が、8月には2.51kWhまで増えていました。夜を待たずに使われている、と言い換えてもいいと思います。

ここで誤解しないでほしいのは、蓄電池がサボっていたわけではないという点です。8月の蓄電池は1日あたり5.11kWhを充電し、4.24kWhを放電していました。放電の下限を考えると、ほぼフル稼働です。

ただ、その4.24kWhは8月の1日あたり消費33.9kWhの12.5%にすぎません。毎日満充電になることと、家の電気をどこまでまかなえるかは、まったく別の話でした。

自給率が8月に36.7%まで下がったのも、同じ理由です。容量を倍にしても、夏の夜が全部埋まるわけではありません。

では何kWhあればよかったのでしょうか。我が家の場合、太陽光だけでは足りなくなる16時ごろから翌朝6時までの消費は、8月で1日あたり24.8kWhありました。6.5kWhはこの4分の1です。ここを全部カバーしようとすると、現実的な価格帯からは大きく外れてしまいます。

少なくとも我が家の夏は、蓄電池が「夜を全部まかなう装置」ではなく「夕方の山を削る装置」として働いていました。3か月使ってみて、そう考えるようになっています。

⑧8月は7月より涼しいのに電気代は悪化した

7月と8月を比べると、消費電力量はほぼ同じでした。1,038.0kWhと1,050.8kWhで、差は1.2%です。それなのに買電は57.4kWh増え、収支は1,816円悪化しています。

「8月のほうが暑かったから」で片づけたくなるところですが、気象庁のデータを見ると逆でした。

項目7月8月
日平均気温27.2度27.1度
最低気温の平均24.5度24.3度
最低気温25度以上の日15日11日
日照時間190.0時間197.6時間
気象庁の観測データより

8月のほうがわずかに涼しく、最低気温25度以上の日も少なく、日が照っている時間はむしろ長かったのです。それでも電気代は悪化しました。

収支悪化を数字で分解すると、大きく2つの変化がありました。

  • 消費の時間帯が夜へずれた:夜間の消費が1日あたり0.88kWh増え、昼間の消費が0.47kWh減った
  • 発電量が減った:1日あたり1.14kWhの減少

使った総量も暑さもほぼ同じなのに、太陽光でまかなえる時間帯から、まかなえない時間帯へ需要が移動していました。④と⑤で見た構造が、そのまま金額に出た形になります。

真南・5度の低傾斜も影響していそうです

日が照っている時間は長かったのに、発電量は約4%減りました。ここには我が家の屋根の条件が効いていそうです。

我が家のパネルは真南向きで、傾斜は図面上では約5度とかなり水平に近い設置になっています。夏至のころの高く昇った太陽とは相性がよく、光をほぼ正面から受けられる置き方です。ところが夏至を過ぎて太陽が低くなってくると、水平に近いぶん、だんだん光を受けにくくなっていきます。

実際のデータもそうなっていました。真昼の発電量は7月と8月でほとんど変わらないのに、16時から18時だけは約26%も減っています。太陽が低くなる夕方ほど、設置角度の影響を受けやすかった可能性があります。

ただし我が家では日射量そのものもパネルの温度も測っていないため、8月の発電量が減った理由を設置角度だけで説明することはできません。屋根の傾斜については、あらためて別記事で掘り下げるつもりです。

では冬はどこまで落ちるのか

夏に強い置き方だということは、裏を返せば太陽が低くなる季節には弱いということになります。我が家の真南・約5°という条件で、太陽の位置、パネルへの入射角、大気による減衰を使い、晴天時の直達日射を簡易的に計算しました。

6月9月12月
光を受けられる量の目安1007534
太陽の位置、パネルへの入射角、大気による減衰から計算した目安です。天気は考えていません

ただし、この計算には空から届く散乱光やパネル温度などは入っていません。実際の発電量を予測するものではなく、あくまで「5°という低傾斜が季節によってどのくらい不利になるか」を見るための目安です。

あえて6月のよく晴れた日の発電量41kWhに34%を掛けると、約14kWhになります。もちろん実際の12月が14kWhになるという予測ではありません。散乱光や低いパネル温度など冬に有利な要素もあるため、晴れた日の実測はこれをどの程度上回るのか。冬に同じ条件で答え合わせしてみます。

⑨これから導入する人が確認すべき3つのこと

3か月を通して見えたことを、これから太陽光と蓄電池を検討する方向けに整理しておきます。

自分の家がどうなるかは、住む前でも見当がつきます

難しい計算は要りません。今の家の使い方から、ある程度は予想できます。

  • 検針票やアプリで、夏場の1か月の使用量を確認する
  • そのうち日が沈んでから朝までに使っている分がどれくらいかを見る(スマートメーターの時間帯別データが電力会社のサイトで確認できます)
  • 夜の割合が大きい家ほど、「年間◯kWh発電します」という数字と、実際に電気代がどれだけ下がるかにズレが出やすくなります

我が家は夏場、夜の消費が6割を超えていました。載せる前にここを見ていたら、蓄電池の容量についての考え方も変わっていたかもしれません。

  • 蓄電池の容量は「1日の消費量」で考えない。太陽光でまかなえなくなる夕方から翌朝までに何kWh使うかで考えないと、実際の働き方とずれます
  • 屋根の傾斜と方角で、夏と冬の落差が変わる。同じ搭載量でも、季節ごとの発電の出方は屋根によって違います
  • 発電量の試算だけでなく、時間帯別の使い方を見る。年間何kWh発電するかより、夜に何kWh使うかのほうが電気代を左右します

特に3つめは、住んでみて痛感しました。導入前に見ていたシミュレーションは年間発電量が中心で、時間帯の話はほとんど出てこなかったからです。

我が家はハウスメーカー経由で決めたため、相見積もりは取っていません。ただ、今回のデータを見たあとだと、搭載量と費用だけでなく、自分の家の使い方を踏まえた試算を複数社で比べておくべきだったと感じます。同じ搭載量を提案されても、蓄電池の容量やパワコンの選び方は会社によって考え方が違うからです。

太陽光でどれだけ得できるかは、作った電気をどれだけ自分の家で使えるかで大きく変わります。それは家族の生活時間によってまったく違うので、平均的なシミュレーションではなく自分の使い方で試算してもらう必要があります。後付けで検討されるなら、1社の提案だけで判断せず、複数社の見積もりを並べて比べることをおすすめします。

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⑩6月・7月・8月の詳細データ

この記事は3か月を横に並べた記事です。各月の天候や日ごとの動きは、月次の記事に詳しく書いています。

⑪まとめ|次は秋と冬で答え合わせをします

6月から8月の3か月を通してみて、いちばんはっきりしたのはこの一点です。

太陽光と蓄電池は、夏でもしっかり電気代を減らしていました。ただ、最後に電気代を決めていたのは、そのどちらも届かない深夜から早朝の消費でした。

3か月で約58,000円ぶんの効果があり、その金額は月を追って増えてさえいたのです。それでも消費が1.8倍になるなかで昼の収支はほとんど動かず、悪化した分の97%は夜に集中していました。蓄電池はほぼ毎日満充電になりながら、賄えたのは消費の12.5%にとどまります。

それでも我が家がこの構成を選んでよかったと思っているのは、夏のあいだ一度も暑さを我慢しなかったからです。全館空調を24時間止めずに動かしても、昼の分は太陽光がまかなってくれました。もし太陽光を載せていなければ、この使い方は続けられなかったはずです。

快適さを取るなら、その分の設備にはきちんと投資する。そのうえで、どこまで自分の家で作れるのかを実測で確かめていく。この記事はその途中経過だと思っています。

秋から冬にかけて、この構造がどう変わっていくのか。同じデータの取り方で追いかけて、またあらためて記事にします。

※電気料金は検針期間が毎月15日始まりのため、暦月の実測データから計算した金額は概算となります。発電量・消費電力量は差分から求めた値のため参考値として扱っています。