ヘーベルハウスで二世帯住宅を建て替え、2026年4月末から家族6人で暮らしています。
この記事では、我が家の全館空調で記録した6月から8月までの温湿度データをもとに、各社の除湿方式を整理しました。数値はすべて自宅の温湿度計と気象庁の観測データによる実測値です。
我が家では快適な暮らしのために全館空調を導入しています。
家づくりの検討中に全館空調を扱っているハウスメーカーを調べましたが、メーカーによって予想以上に違いがあるんですよね。
例えばパナソニックホームズの全館空調「エアロハス」の公式サイトには、採用している高効率専用エアコンには一般的なルームエアコンのような除湿モードは搭載していないと明記されていました。
全館空調は家じゅうの温度を整えるための設備ですが、湿度をどこまで、どのように扱うかは会社ごとに大きく違います。そして「湿気をどこで処理するか」という設計思想の違いが、そのまま必要な設備やスペースの違いとなって表れるんですよね。
我が家は、加湿もできる方式を提案されながら、機械室が必要になるという理由でそれを選びませんでした。その判断が夏にどう出たのか。6〜8月に記録した実測データを比較しながら、各社の方式と合わせて整理していきます。
①全館空調と湿度|温度は快適でも湿気は別
全館空調の紹介で語られるのは、ほとんどが温度の話です。廊下も脱衣所も暖かい、ヒートショックが起きにくい、部屋ごとの温度差がない。これはどれも本当のことで、住んでみて実感もしました。
ただ、湿度については各社の説明の密度がまるで違います。加湿を標準機能として前面に出す会社もあれば、除湿モードは持たないと明示している会社もある。同じ全館空調という言葉でくくられていても、中身は別物と考えたほうがいいでしょう。
なぜ湿度でここまで差がつくのか。理由はシンプルで、温度は空気を冷やせば下がりますが、湿気は取り除いてどこかへ捨てなければならないからです。捨てるための装置がいる。その装置を家のどこに置くかで、各社の答えが分かれています。
②我が家の夏の実測|3か月の温湿度データ
先に我が家の数字を出します。1階ダイニングに温湿度計を置き、6月から8月まで同じ場所で測り続けたデータです。外気は気象庁の観測データを使いました。
ここで注目してほしいのが絶対湿度という数字です。ふだん目にする「湿度60%」は相対湿度といって、同じ水分量でも気温が上がれば下がって見えます。これに対して絶対湿度は、空気1立方メートルの中に何グラムの水が入っているかを表したもの。空気中の水分量が実際にどれだけ違うのかを見るには、絶対湿度で比べると分かりやすくなります。
| 期間 | 外気の絶対湿度 | 室内の絶対湿度 | 室温 |
|---|---|---|---|
| 6/22〜26 | 16.4g/m³ | 13.4g/m³ | 25.1℃ |
| 7/4〜11 | 17.4g/m³ | 13.0g/m³ | 24.9℃ |
| 7/11〜18 | 21.8g/m³ | 13.7g/m³ | 25.9℃ |
| 8月(31日間) | 20.2g/m³ | 13.2g/m³ | 24.6℃ |
期間によって外気は16.4から21.8まで、5g以上の開きがありました。梅雨と真夏では、外の空気に含まれる水の量がこれだけ違うわけです。
それに対して室内は13.0から13.7。わずか0.7gしか動いていません。

8月は31日間の連続データですが、それでも一日の平均値でみると8/24以外は14g/m³を超えることなく、ほぼ一定の値に落ち着きました。短期間のたまたまではなく、夏を通してこの水準で安定していたことになります。
快適とされる目安と比べるとどうなのか
13gという数字を見せられても、それが良いのか悪いのか分かりませんよね。私も同じ疑問を持ったので、目安を探しました。
日本気象協会が運営するtenki.jpの湿度についての解説記事には、夏場に一般に快適といわれる室内温度は25〜28℃、室内湿度は55〜65%くらい、と紹介されています。ただしこれは公的な基準ではなく、一般に言われている目安としての紹介です。
この範囲を絶対湿度に換算してみました。
| 室温 | 相対湿度55% | 相対湿度60% | 相対湿度65% |
|---|---|---|---|
| 25℃ | 12.6g/m³ | 13.8g/m³ | 14.9g/m³ |
| 26℃ | 13.4g/m³ | 14.6g/m³ | 15.8g/m³ |
| 27℃ | 14.1g/m³ | 15.4g/m³ | 16.7g/m³ |
| 28℃ | 14.9g/m³ | 16.3g/m³ | 17.6g/m³ |
幅は12.6〜17.6g/m³。かなり広いことが分かります。室温が3℃違うだけで、同じ相対湿度でも水分量は2g以上変わるので、絶対湿度だけで「快適はこの一点」と決めることはできません。
そのうえで、8月の我が家を当てはめるとこうなりました。
- 相対湿度が65%を超えた時間 0%
- 室温が28℃を超えた時間 0%
- 室温が25℃を下回っていた時間が約6割
1か月を通して、室温28℃超・相対湿度65%超の時間はいずれも0%でした。外気が20g前後だった8月にこの結果なので、湿度は抑えられていたと考えていいでしょう。一方で目安から外れていた時間もあり、そちらはすべて涼しい側です。我が家の設定が少し低めだったということになります。
1か月分をすべて点で置くと、位置関係がはっきりします。

点の集団は、右上の高温高湿の領域からはっきり離れた場所にあります。そして横には広いのに、縦には狭い。室温は22℃台から27℃まで動いているのに、相対湿度は50〜65%の帯に収まり続けています。
蒸し暑さの体感の境目は、絶対湿度14.5〜15g付近に重なった
体感としては、26℃で60%を超えたあたりから少し蒸し暑く感じました。同じ26℃でも相対湿度55%と65%ではまるで違う、というのが正直な感覚です。
あとから気づいたのですが、この「25℃で65%」と「28℃で55%」を結ぶ斜めの線は、絶対湿度に直すとどちらも約14.9g/m³。26℃で60%も14.6g/m³で、ほぼ同じ線の上に乗っていました。
暑さ・寒さの感じ方には個人差がありますが、私の体感値では、蒸し暑さを感じる絶対湿度のラインが大体14.5g/㎥付近にあったようです。
参考として、この14.5g/m³を超えていた時間を数えると、8月の744時間のうち12時間ほどでした。ほとんどの時間は下側に収まっていたことになります。
床タイルもフローリングもベタつくことがなく、夏の間に不快さを感じた場面は思い出せません。13g台という数字は、目安の中では低め寄りに収まっていることになります。
一方で、室温が25℃を下回っていた時間が6割ありました。つまり少し涼しすぎた時間帯もあったというのが正直なところです。冷やし過ぎれば電気代もその分かかってしまいますので、25℃前後で安定させる設定の仕方には、まだ追究の余地がありそうです。
日別で見ると「天井」がはっきり出る
もっとおもしろいのは8月を1日ずつ見たときでした。外気の絶対湿度は日によって16.3から22.8まで大きく振れています。室内はというと、11.6から14.1の範囲。
- 外気が22前後まで上がった日
→ 室内はいずれも13.2〜13.5g - 外気が16〜18まで下がった日
→ 室内は12.3〜12.6g - 最も乾いた8/11(外気16.3g)
→ 室内11.6gまで低下
ばらばらの日付なのに、外が湿った日はどれも13.3g前後で判で押したように止まっている。逆に外が乾いた日は室内もそれ以下まで下がります。
下がる日は11〜12g台まで落ちる一方、外が湿った日は13g台の半ばあたりに集まっている。つまり今回測った夏の条件では、室内の絶対湿度に上限のような傾向が見えました。
外気がどれだけ蒸し暑くても、室内は13g台の半ばを大きく超えませんでした。これが3か月測って見えた我が家の夏の姿です。
なお運転モードは、6月は晴れの日に冷房、雨の日に除湿という使い分け、7月以降は除湿で通しています。除湿にしたほうが体感で涼しく感じたためですが、モードごとの効果を分けて検証できるだけの条件は揃っていないため、ここでは前提条件として書き添えるに留めます。
③湿度が下げ止まる理由|湿気は入り続ける
では、なぜ13〜14gという天井ができるのでしょうか。
全館空調だけでなく、換気・断熱・気密もセットで考えた
その前に、ひとつ前提を書いておきます。打ち合わせで換気について尋ねたとき、担当者からは「全館空調の場合には第一種換気システムになります」と説明されました。少なくとも我が家が提案されたヘーベルハウスの構成では、全館空調にすると換気方式までセットで変わることになります。
これは仕組みを知ると、私には納得しやすい組み合わせでした。家じゅうの空調をまとめて管理するなら、給気側も機械でコントロールする第一種換気とは相性がよさそうだと考えたからです。後の章で出てくる「湿度調整のオプション」も、実は換気システムを別のタイプに差し替えるという話でした。
そしてもうひとつ。私は、全館空調と第一種換気を採用するなら、断熱と気密もある程度は確保しておきたいと考えていました。せっかく換気の経路を計画しても、隙間から意図しない外気が入りやすければ、その通りの空気の流れをつくりにくくなるのではないか。特に夏は、その外気と一緒に水分も入ってきます。
完成してから「思っていた空調環境にならなかった」と感じても、その原因が設備なのか施工なのかを後から切り分けるのは難しい。そう考えて、我が家では気密測定の実施を契約の条件にしました。全館空調を入れるからこそ、断熱・気密・換気をセットで考えたというのが、当時の私の判断です。
24時間換気がある以上、外気由来の水分は入ってくる
では、ここから湿度の話に戻ります。現在の住宅では24時間換気設備の設置が求められており、外の空気が常に取り込まれ続けています。夏の外気には20g前後の水分が含まれていますから、換気を続ける以上、外気からの水分流入がゼロになることはありません。
下の写真は、我が家の建築中に撮った天井裏です。ピンクの断熱材(ネオマフォーム)に囲まれた空間に熱交換ユニットが吊られていて、そこから何本ものダクトが各部屋へ伸びています。ふだんは天井の中に隠れて見えませんが、この装置が休みなく外の空気を取り込んでいるわけです。

入ってきた湿気を、室内側に置かれたエアコンが後から取り除く。これが我が家の構成です。②の表のとおり、8月は外気と室内で7g近い差がありました。
ただしこの差がそのままエアコンの除湿量という意味ではありません。我が家の24時間換気は全熱交換型という方式で、温度だけでなく湿気も給気と排気の間でやり取りしています。外気がそのままの濃さで室内に入っているわけではないのです。
ここは少しややこしいので補足します。全熱交換器は、除湿機のように水分を家の外へ積極的に捨てる装置ではありません。夏は排気側との湿気のやり取りによって、外気の水分がそのまま室内へ入るのを抑えている。入ってくる量を減らす働きであって、室内の水分量そのものを下げにいくのはエアコンの役目です。
さらに、人の呼吸や汗、調理や入浴や洗濯といった室内で発生する水分もあります。我が家は6人暮らしなので、この量も小さくないはずです。実際の除湿量を知るには、これらをすべて足し引きする計算が要ります。
それでも言えるのは、外の条件が大きく変わる中で室内が13〜14gに収まっていたという事実です。換気と空調と室内で発生する水分、そのすべてを含めた結果として、このあたりで釣り合っていたと読むのが正確でしょう。エアコンで冷やして水分を落とす方式である以上、どこかで釣り合う点は生まれます。
ちなみに我が家の全館空調で使用しているエアコンはダイキン製で、除湿は「さらら除湿」と呼ばれるリニアハイブリッド方式です。ダイキンの公式サイトによると、この方式は消費電力が冷房より少なく、部屋の温度はやや下がるとされています。
ただし冷房と除湿のどちらが安いかは使用環境や設定によって変わるため一律には言えない、とも書かれていました。
気密や断熱の話とセットで読みたい方は、こちらの記事も参考にしてください。鉄骨ハウスメーカー6社の断熱性能を比較した記事でも、7月の温湿度データを扱っています。
④全館空調の除湿方式|4社の違いを比較
ここからが本題です。各社の全館空調が湿気をどこで処理しているのかを、公式サイトで確認できる範囲で並べました。
| 会社・システム | 湿気を処理する場所 | 除湿の方法 | 加湿 |
|---|---|---|---|
| ヘーベルハウス ロングライフ全館空調(HG採用時) | 給気側で調湿 | デシカントローターで吸着 | あり |
| パナソニックホームズ エアロハス(2026年10月以降) | 給気側で調湿 | 床下の除湿ユニット | 確認できず |
| 三井ホーム スマートブリーズ・エース | 空調機本体 | 本体で温湿度を制御 | あり |
| ヘーベルハウス ロングライフ全館空調(標準) | 室内空調で除湿 | エアコンの除湿運転 | なし |
| 三井ホーム スマートブリーズ・ワン | 室内空調で除湿 | ルームエアコン1台 | なし |
| 桧家住宅 Z空調 | 別の除湿機を置く | 市販の除湿機を併用 | 別システム |
整理すると、湿気の処理のしかたは大きく3つに分かれます。我が家は2番目の「室内の空調で除湿する」にあたります。

ひとつ補足しておくと、全熱交換型の換気を使っている家は、給気の段階でも湿気のやり取りが起きています。ただしそれは交換であり、湿気を積極的に取り除く調湿とは働きが違うものです。ここで「給気側で調湿する」に分類したのは、デシカントローターや除湿ユニットで能動的に湿気を落とす方式のことです。
なお三井ホームのスマートブリーズ・エースは、空調機本体が温度と湿度をまとめて制御する仕組みです。外気をどの段階で処理しているのかまでは公式サイトで確認できなかったため、表では「空調機本体」という書き方に留めています。
室内で除湿する構成は、エアコンの方式が重要になる
ここで見落とされがちな点がひとつ。室内の空調で除湿する構成の場合、夏の湿度を大きく左右するのは、そこに使われているエアコンの除湿方式だということです。
ダイキンの分類によれば、エアコンの除湿には弱冷房方式、再熱除湿方式、ハイブリッド方式、リニアハイブリッド方式があり、部屋の温度の下がり方も消費電力も方式ごとに違います。我が家ではリニアハイブリッド方式が採用されており、弱冷房除湿や再熱除湿とは室温の下がり方も制御の仕方も異なります。どの方式の機種が組み合わされるかで、夏の過ごし方は変わってくるはずです。
全館空調のカタログには、そこまで書かれていないことがほとんどです。実際にヘーベルハウスの全館空調で使用しているエアコンの型式は、担当営業に直接確認をして初めて知りました。
室内空調で除湿する構成では、機種名と除湿方式まで確認すると、夏の湿度管理の特徴が見えやすくなります。
桧家住宅は「除湿機を使う」という答えを出している
各社の中で、最も割り切った答えを出しているのが桧家住宅でした。
公式サイトのよくある質問には、Z空調自体に加湿機能はないと明記されています。そのうえで別ページに「除湿コンセント」という商品が用意されていて、これは市販の除湿機の排水ホースをつなぐための、排水口に直結した専用コンセントを床に施工するというものです。
興味深いのは、その説明文です。夏の快適な湿度はおよそ50%と言われるものの、エアコンだけでこの湿度を一定に保つのは難しいという趣旨のことが、メーカー自身の言葉で書かれています。
掲載されている実験では、Z空調を24℃に設定した住宅の各階に除湿能力24.5L/日の除湿機を1台ずつ置いて24時間運転し、家全体で相対湿度50%前後を維持できたとされていました。このとき1日に溜まる水は24.8L。タンク容量5.5Lの機種なら5回の水捨てが必要になる計算だとも書かれていました。
1日に約25リットル。もちろんこれは桧家住宅が公表している実験条件での結果であり、すべての住宅で同じ量の水を抜く必要があるという意味ではありません。それでも、夏の住宅から除湿機がこれだけの水を回収するケースがあるという数字は、なかなか印象的です。
全館空調でも、除湿機を足すという選択肢はある
桧家住宅の考え方は、他社を選ぶ人にも応用が利きます。Z空調に限らず、全館空調を入れたからといって除湿機を置いてはいけないわけではありません。
実際に暮らしてみて、特定の部屋だけ湿度が高い、梅雨の時期だけもう少し下げたい、室内干しがメインなので洗濯物の乾きを早めたい。そういう場面では、後から除湿機を足す方法があります。全館空調は家全体を整えることを目的とした設備なので、特定の部屋だけを短期間で強く除湿したい場面では、除湿機のほうが使いやすいこともあるでしょう。
選ぶときに見るポイントは、多くありません。
- 除湿能力(L/日) 使う部屋の広さや目的に合った能力かどうかを確認します
- 連続排水に対応しているか 長時間運転するなら水捨ての手間が変わります
- タンク容量 連続排水を使わない場合、ここが実質的な運転可能時間になります
- 除湿方式 夏中心ならコンプレッサー式、冬の結露対策や通年で使うならハイブリッド式が向きます
方式ごとの向き不向きは、おおまかにこう分かれます。
- 大容量のコンプレッサー式
- 夏の除湿が中心ならこのタイプ。桧家住宅の実験で使われていたのも大容量のコンプレッサー式でした。リビングなど広い空間に向きます
- 通年で使うハイブリッド式
- 夏はコンプレッサー、冬はデシカントと切り替わる方式。結露が気になる季節にも使えます
- 小空間向けのデシカント式
- 脱衣所やクローゼットなど狭い場所に。軽くて持ち運びやすい反面、消費電力は高めです
※以下は各方式の一例です。我が家では現時点で除湿機を追加する必要を感じていないため、実機レビューではありません。仕様や販売状況は変わることがあるので、購入前に販売ページでご確認ください。
なお三井ホームについては、2026年9月時点の公式ラインナップページにエースとワンの2タイプが掲載されています(ページ本文には3タイプという記述も残っており、表記に揺れがある状態です)。また一条工務店の「さらぽか空調」は、公式サイトで確認できる情報が揃わなかったため今回の比較からは外しました。
⑤湿度対策の代償|必要になる設備スペース
では、湿度までしっかり面倒を見てくれる方式を選べばいいのか。話はそう単純ではありません。
ヘーベルハウスの公式サイトには、ロングライフ全館空調の特長として機械室が不要である点が挙げられています。フロアごとに廊下など居室以外の天井へ室内機を設置する構成のため、専用の機械室がいらず、間取りへの影響が少ないという説明です。
ところが同じページの注記に、こう書かれています。熱交換型ロングライフ・エコ換気システムHGを採用する場合は、機械室が必要になる。
そして湿度調整の機能についても、HGを採用した場合のみ使用できる機能である旨が注記されています。湿度を調整したければHGを選ぶ、HGを選べば機械室がいる。この交換条件が、公式サイトの2つの注記として並んでいるわけです。
HGは「加湿器を足す」のではなく換気システムごと変える
公式の説明動画を見ると、HGの仕組みが図で示されています。

除湿モードでは、外から入ってくる空気をまず冷却コイルで冷やし、そこにデシカントローターと呼ばれる乾燥材の円盤を通して水分を吸わせる。一方の排気側では加熱コイルで温めた空気をローターに当てて水分を放出させ、そのまま屋外へ捨てる仕組みです。ローターが回転しながら、吸う側と捨てる側を往復する構造です。
加湿モードでは、これがちょうど逆に働きます。給水タンクが不要なのはそのためで、外気に含まれる水分をローターで捕まえて室内側へ移しています。
つまりHGは、加湿器を1台足すという話ではありません。換気システムそのものを、調湿機能を持つタイプに置き換える選択です。ローターと2つのコイルという実体のある装置が加わる以上、置き場所が必要になるのも当然でした。
他社を見ても、同じことが起きています。方式は違っても、湿度に積極的に手を入れようとすると設備が増え、その置き場所が必要になります。

機械室、床下、室内の一角。置き場所はそれぞれ違いますが、湿度を積極的にコントロールするほど、そのための設備スペースをどこかに確保する必要が出てきます。間取りを考えるうえでは、この点を早めに知っておきたいところです。
⑥我が家がデシカント式を選ばなかった理由
打ち合わせの段階で、我が家にも選択肢は示されていました。加湿もできて、給気の段階で湿気を調整できる方式。それでも私たちは、機械室が不要な標準の構成を選んでいます。
理由は単純で、二世帯6人で暮らす家において、専用の機械室のために面積を割くという選択をしなかったからです。両親の寝室を広くとる、子供それぞれに部屋を用意する、子世帯用のサブリビングをつくる。家族それぞれの居場所を確保することを最優先に組み立てていたので、そこから面積を差し引く選択肢は最後まで浮上しませんでした。

全館空調そのものにかかった費用は、我が家の場合で131.7万円でした(ハウスメーカーや仕様、建物の規模によって金額は異なります)。ここに機械室が加わると、同じ建物面積なら他の部屋を削ることになりますし、面積そのものを増やすなら建築費にも影響します。
住んでみて分かった、この選択の中身
夏を越した今の感想としては、判断は間違っていなかったと感じています。②で示したとおり、室内の水分量は13〜14gで安定していました。相対湿度でいえば58%前後。デシカント式ではないシステムでも、夏は十分快適に過ごせました。
一方で、手放したものもはっきりしています。デシカントローターがないため、加湿はできません。担当営業からは「全館空調は冬はどうしても乾燥しやすい」と聞いているので、秋以降は加湿器の導入を検討しています。
この記事を書いている時点ではまだ冬を経験していないため、加湿についてはまだ答え合わせができていない状態です。乾燥する季節にこの構成がどう出るかは、実測してから改めて記事にします。
⑦2026年の動き|パナソニックが除湿を強化
この記事を書いている2026年9月初旬、大きな発表がありました。
パナソニックホームズが2026年8月31日、エアロハスに床下除湿ユニットを新たに搭載すると発表しています。これを採用した新商品が2026年10月1日に発売される予定で、省エネ地域区分の5・6・7地域では標準採用、4地域ではオプション扱いとのことです。
注目したいのは、その開発背景として公表されている内容でした。芝浦工業大学との共同研究でおよそ60年後の気候条件を想定した検証を行ったところ、エアロハスを採用した住宅は夏でも温度は快適に保てる一方、湿度環境へのさらなる対応が求められると分かった、と説明されています。
将来の気候を想定した検証で、温度だけでなく湿度への対応が必要だと分かった。その結果として、給気の前に除湿する床下除湿ユニットが追加された。少なくともパナソニックホームズでは、湿度対策が新たな商品改良のテーマとして明確に扱われていることが、公式の発表から読み取れます。
仕組みも公表されています。外気を室内に給気する前に床下で除湿し、除湿にともなう温度上昇は地熱で緩和する(ただし完全に相殺されるものではないと注記あり)。排水はドレン排水管に直結して自動で処理する。効果としては、高温多湿な時期に家じゅうの湿度を10〜15%抑えられるとされていますが、これは7月の試算による平均値で、冷房機器の除湿効果は考慮していない条件です。
そして興味深いのは、床下除湿ユニットが搭載されてもエアロハスの専用エアコン自体に除湿モードが付くわけではないという点です。2026年9月時点のよくある質問にも、高効率専用エアコンには一般的なルームエアコンのような除湿モードはないと記載されたままになっています。
つまり新しい仕組みは、空調機の側に除湿機能を足すのではなく、給気の前に別のユニットで湿気を処理するという考え方です。この記事のテーマである「湿気をどこで処理するか」の違いが、同じメーカーの新旧仕様の間にも表れていることになります。
ひとつの商品ページを見ただけでは、こうした全体像はつかめません。仕様は動きますし、何がどこまでできるのかはページによって書き方も違います。最終的には営業担当者に直接確認するのが確実です。
⑧全館空調の除湿で営業に聞くべき4つの質問
ここまでの内容を、そのまま打ち合わせで使える質問の形に変えました。
- この全館空調に除湿の機能はありますか あるかないかで、夏の過ごし方が変わります。ないと明示している会社もあります
- 湿度の調整は標準ですか、オプションですか オプションの場合、何を追加する必要があるのかまで聞いてください
- そのオプションを選ぶと、どこにどれだけスペースが必要になりますか 機械室、床下、室内の設置場所。間取り図の上で影響を確認しておきたいところです
- 使われるエアコンの機種名と、除湿の方式を教えてください 室内側で除湿する構成の場合、ここが家の湿度を左右します
この4つは、1社に聞いただけでは答え合わせができません。方式そのものが会社ごとに違うので、同じ質問を複数社にぶつけて初めて、違いが立体的に見えてきます。
我が家も8社と面談しましたが、全館空調の説明の濃さは会社によってかなり差がありました。湿度を重視するなら、その温度差自体が判断材料になります。
⑨まとめ|全館空調の除湿は思想の違い
3か月測って分かったことを整理します。
- 我が家の室内の水分量は、外気が16.4〜21.8gと動く中で13.0〜13.7gに収まり続けた
- 外が乾いた日は11〜12g台まで下がる一方、湿った日でも13g台半ば付近に収まる傾向が見られた
- 8月は、室温28℃超・相対湿度65%超の時間がいずれも0%だった
- 換気・空調・室内で発生する水分のバランスの結果として、その水準で安定していたと考えられる
- 各社の違いは、給気側で調湿するか、室内空調で除湿するか、別の除湿機で補うかという処理方法にある
- 湿度を積極的にコントロールする方式ほど、機械室や床下など設備の置き場所が必要になる
- 室内空調で除湿する方式では、採用されるエアコンの除湿方式が夏の湿度管理に大きく関わる
全館空調はまず家じゅうの温度を整える設備ですが、湿度をどこまで、どのように扱うかは会社ごとに大きく違いました。全館空調なら湿度まで全部やってくれる、と一括りにはできないというのが今回の結論です。
我が家は機械室を選ばず、その代わりに湿度は住人が運転モードで整える構成になりました。夏に関していえば、その判断で困ることはありませんでした。ただし冬の加湿はこれからです。選んだ理由と、選ばなかったものの中身を両方書けるようになるのは、冬を越してからになります。
9月からは屋外と2階の寝室にも温湿度計を設置しました。家の中で場所によって湿度がどう違うのか、外気と直接比べたらどうなるのか。データが揃い次第、続きを公開します。
本記事の各社の仕様は、公式サイトおよびプレスリリースの記載(2026年9月時点)にもとづいています。快適とされる温湿度の目安は日本気象協会tenki.jpの記事で紹介されているものを参照し、絶対湿度への換算は筆者が行いました。仕様は変更される場合がありますので最新情報は各社にご確認ください。記載に誤りがあればお問い合わせフォームよりご連絡いただけると幸いです。
