注文住宅を検討する際、多くの人が気にするのが「断熱性」と「結露」。特に窓まわりの仕様は家の快適性や光熱費に直結するため、慎重に検討したいポイントです。
今回は、へーベルハウスで採用されている「アルミ樹脂複合サッシ」の代表格・LIXILのTWについて、断熱性や結露対策の観点から詳しく解説します。
へーベルハウスのアルミ樹脂複合サッシを徹底検証!
樹脂サッシが選べない?へーベルハウスの仕様に疑問
へーベルハウスでは、標準仕様として「アルミ樹脂複合サッシ(TW)」が採用されています。施主の中には「純粋な樹脂サッシが選べないの?」と疑問を持つ方も多いですが、私自身もその一人でした。
しかし、改めて調べてみると、TWの性能は非常に高く、単なる複合サッシとは一線を画していることがわかりました。
アルミ樹脂複合サッシとは?その違いを知る
「複合サッシ」といっても、その構造や性能には大きな違いがあります。主に以下の3つのタイプに分類されます:
- アルミの表面に樹脂を貼り付けたもの
- 室外側と室内側の間にサーマルブレイク(樹脂)を挟んだもの
- 室内側を多層構造の樹脂にした高断熱型(TWなど)
それぞれの断熱性の違い
アルミ+樹脂貼り付けタイプ(例:サーモスII-L)
アルミ構造の外枠に樹脂を貼り付けただけの仕様で、熱はアルミから室内側にダイレクトに伝わります。このため、断熱性は低く、結露のリスクも高め。

サーマルブレイク入りタイプ(例:サーモスII-H)
アルミ枠の内外を樹脂で分離することで熱伝導を抑えますが、それでも構造全体にアルミ面積が多く、真冬の寒冷地では断熱性・結露対策ともに不安が残ります。
(緑〇の箇所がサーマルブレイクと呼ばれる断熱層)

多層樹脂構造(例:TW)
TWは、室内側を多層の樹脂構造で作り、サーマルブレイクもしっかり確保。空気層による断熱効果もあり、断熱性は樹脂サッシに近いレベルに達しています。

熱貫流率で見る断熱性能の比較
ここでは代表的なサッシの断熱性能(熱貫流率:U値)を比較してみましょう。※すべてアルゴンガス入りペアガラス仕様でのデータ。
- サーモスII-L/H:1.66 W/㎡K
- TW:1.44 W/㎡K
- EW(LIXIL樹脂サッシ):1.27 W/㎡K
- APW330(YKK樹脂):1.31 W/㎡K
さらにトリプルガラス仕様での比較:
- APW430(YKK樹脂+トリプル):0.82 W/㎡K
- TW(トリプル仕様):0.98 W/㎡K
これを見ると、TWは複合サッシでありながら樹脂サッシと遜色ない断熱性能を有していることがわかります。
結露対策も万全?検証動画から読み解く
断熱性能と並んで重要なのが「結露」。アルミが室内に露出していれば、表面温度が下がり、結露が起こる可能性があります。しかしTWでは、室内側はほぼすべて樹脂。さらにLIXILによる実験では、
- 室外:0℃
- 室内:20℃/湿度60%
という過酷な条件下でも、結露はほとんど発生しないという結果に。
仮に水分が結露したとしても、量は「窓1枚あたり水滴1滴程度」との試算もあり、6地域(温暖地)に建築予定の我が家であれば結露の心配は限りなく低いといえるでしょう。
デザイン性は圧倒的にTWが優位
性能面だけでなく、デザイン性でもTWは優秀です。
フレームが細く、大開口を実現できるのが最大の特徴。最大高さはなんと2700mm。樹脂サッシのAPW430が2470mmまでなのに対し、より解放感ある窓デザインが可能です。

やはり窓枠が圧倒的に細く、見た目が非常にすっきりしています。
これはアルミの高強度だからこそできることで、住宅全体のスタイリッシュな印象にも寄与します。
まとめ:へーベルハウスでのTW採用は合理的な選択
- TWはアルミ樹脂複合サッシの中でも高性能で断熱性は樹脂サッシに近い
- 結露の心配も少なく、温暖地であれば問題なし
- 意匠性や大開口にも優れ、住宅全体の印象が引き締まる
よく「アルミ樹脂複合サッシは結露する」「断熱性が低い」といった声を耳にしますが、これは仕様やグレードによって大きく異なります。TWのように高性能な複合サッシを選べば、十分満足のいく性能が得られるでしょう。
特に、へーベルハウスのように東北以北の寒冷地では展開せず、デザイン性や強度を重視した設計では、TW一択という仕様も納得できます。
今後、アルミ樹脂複合サッシを検討する際は、「複合サッシだからダメ」と決めつけず、各製品の構造や性能をしっかり確認することがおすすめします!